第33章 Sランク任務 -3-
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とある川の下流近く。
いつものごとくイチャイチャパラダイスを片手に立ち読みしながら歩いているカカシの前に、ヒナタが息を切らしながら駆け寄った。
ヒナタはナルトの同期の中でも特別大人しく、控えめな女の子なのだが、その演技は女優顔負けの名演技だ。
「はあっはあっ…カカシ先生! 向こうの川で女の人が…溺れて!」
「なんだって?!」
ヒナタに案内され、カカシが辿り着いたのは川の中流付近。
流れが速く、一般の人がここに入ろうものなら、溺れかねない危険な場所だ。
土手にびしょ濡れの状態で倒れこむ一人の女性。
その女性を発見したカカシは急いで彼女の近くに駆け寄り、しゃがみこんだ。
腕をつかみ、手首に指を置いて脈を測る。
カカシの表情から、大変危険な状態であることが伺える。
実はナルトがお色気の術で化けたセクシーな女性は、サクラの用意した謎の薬を服用し、鼓動を弱く偽っていたのだ。
そんなことには気付かない様子のカカシは、真剣な表情で、女性を助けようとその倒れた体に手を伸ばしかけた。