第30章 初対面
『え、えっと……優しくて、他人想いで、凄く頼りになる強い先生やから、…あ、安心して?』
さきはひとまず、当たり障りのない回答をしてみた。
かえって墓穴を掘りたくないし、間違ってはない…はずだから。
「優しい? どのへんがだってばよ?」
「他人想い……なのかしら」
「何時間も遅刻してきて頼りになる…か」
「おいおい、お前ら酷いね~」
『ハハ…まぁ、これからゆっくり知っていけるよ。 確かに見た目はちょっと怪しいけどね』
さきの回答には全然納得の行っていない様子の三人。
確かに昨日、今日のカカシの様子では優しいも、他人想いも、頼りになるもあんまりピンと来ないだろうが、強いというところだけは否定しなかったし、まぁ良いだろう…と、さきは苦笑いするしか無かった。
「よ~し。 では第7班は今日は解散! また任務については連絡するから」
『みんなまたね、明日から頑張ってね!』
明日からの任務に期待を馳せる三人は、肩を並べて帰って行った。
やはりどうしてかそのでこぼこ感は否めないのだが、彼らならきっといい班になる…そんな期待と希望を胸に、さきは少しだけ逞しい三つの背中を見えなくなるまで優しく見守った。