第29章 Silver Fireworks
「お前らぁぁあ!!」
突然三人の前に現れるカカシ。
気配はなかったはずなのにとサスケは身構え、ナルトとサクラは絶叫した。
鬼のような形相で三人の前に立つカカシは、何かの術の印を結びながら、「ルールを破ったらどうなるか分かっているのか」と三人に問う。
それが三人の思いに対する、最後の確認だ。
“三人でひとつだから!”
カカシの最後の問いに、三人は力強く答えた。
カカシによって呼ばれた雷鳴が徐々に去ってゆく…
そして、彼は満面の笑みで三人に告げた。
「ごーかっく♡」
「え!?」
「は?」
「……」
三人は各々に分かりやすい反応を示した。
「忍者は裏の裏を読むべし…」とカカシは続ける。
そして、今までの子供たちは素直に言うことを聞くだけのボンクラで、自分たちで考えて行動したのは、この三人が初めてだ…と彼らのことを褒めた。
「忍者の世界で、ルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる……けどな!
仲間を大切にしない奴は、それ以上のクズだ」
木陰で見守っていたさきは、ハッと目を見開いた。
先程カカシが言った言葉は、さきが火影様に言った言葉とよく似ていたからだ。
“忍の世界の、ルールや掟を守れない人は許されないのかもしれません。 ですが私は仲間を守れないということが、大切にしないということがそれ以上に許せません!”
『そっか…その言葉は、きっとオビトさんの言葉やね……カカシ…私とカカシが似てて良かったよ』
カカシの乗り越えきれない過去と、今のあの三人の答え、それにオビトが残したであろう今のカカシを作る言葉…それらにさきの胸がいっぱいになる。
さきはカカシに合格を告げられ喜ぶ彼らを暖かく見つめながら、ほんの少し木陰から出て、ある印をゆっくりと結び始めた。