第28章 鈴取り演習 -3-
カカシはそのまま、何のために班ごとのチームに分けて演習をやっているのか分かるかと問うた。
その答えが全くわからず、黙り込んでしまう三人。
そう、カカシの求める答えは…
「それは、チームワークだ」
三人でカカシに立ち向かってゆけば、若しかすると鈴を取れたかもしれない。
アカデミーを卒業したばかりの彼ら個人の力だけでは、上忍に太刀打ちできるわけがないのだ。
それは影で話を聞いていたさきだってそうだ。
カカシになんて、到底適わない。
「鈴は2つしかないのに、なんでチームワークわけ?! 一人我慢しなきゃならないなんて、チームワークどころか仲間割れよ!」
サクラの考えは間違いではない。
しかし、カカシの本当の合否の判断基準は、“そうだと分かっていても、自分の利害に関係なく、チームワークを優先できるかどうか”ということなのだ。
これは難しい課題なのかもしれない…しかし、忍の世界ではチームワークが確かに大切なことをさきも任務を通して実感する事が多かった。
また“それ”はカカシが今までの経験に学び、悔やんでいること。
さきは瞼を静かに伏せ、カカシを思った。