第28章 鈴取り演習 -3-
「忍者にとって卓越した個人技能は必要だが、任務は班で行うものだ。 チームワークを乱す個人プレイは、仲間を危機に落とし入れ殺すことになる。 たとえば……サクラ!ナルトを殺せ。 さもないとサスケが死ぬぞ!」
カカシはひとつの例を、わざとサクラを名指して教える。
サクラも、そしてナルトも揃って戸惑った。
カカシはゆっくりとサスケから離れて、例の石碑に近づいた。
「これを見ろ…」
そしてそこに名前を刻まれている忍び達は、里で「英雄」と呼ばれている者たちであることを説明した。
“英雄”と聞いたナルトは、「それそれそれそれーっ!それいーっ!!」と、嬉しそうに続ける。
自分もそこに名を刻む、犬死になんかするか、と。
…確かに英雄と言えば、普通の人には出来ないような事柄を成し遂げる“ヒーロー”…その考えも正解である。
しかしこの石碑に名を刻まれ、眠っている英雄たちは、任務中に殉職した忍者だ。
彼にはなんの悪気もないことは、さきにもカカシにもわかっている。
しかしナルトのその屈託のない笑顔は、カカシにとっては残酷なものだ。
「これは慰霊碑。 この中には、オレの親友の名も刻まれている……」
三人はそれを聞き、黙り込んでしまった。
さっきまで嬉しそうにしていたナルトも、なんとも言えない困惑の表情を浮かべている。
「お前ら!最後にもう一度だけチャンスをやる…… 昼からはもっと過酷な鈴取り合戦だ! 挑戦したい奴だけ弁当を食え。 ただしナルトには食わせるな」
「え?」
「ルール破って一人昼飯食おうとした罰だ。 もし食わせたりしたらそいつをその時点で試験失格にする。 ここではオレがルールだ。
わかったな。」
そう言い残し、カカシは彼らの前から去った。