第26章 鈴取り演習 -1-
「世間じゃさ…実力のない奴に限ってホエたがる。 ま…ドベはほっといてよーいスタートの合図で…」
カカシの思惑通り“ドベ”という単語に反応したのは、成績最下位で卒業したナルトだ。
(ほーら、来た。)
頭にカッと血が上り、まるで野生動物のように飛び出してきたナルト。
カカシは彼のクナイを持つ手をゆるりと掴んでサッとナルトの背後に回る。
まるで風に揺れる柳のようにしなやかで柔軟な体捌きで、そのクナイをナルトの後頭部に触れるか触れないかの絶妙な位置に突き立てた。
「そうあわてんなよ。 まだスタートは言ってないだろ」
なんなくサラリと躱す…というどころか、何が起こったか分からなかったほどのカカシの素早い身のこなしに、三人は言葉を無くして立ち尽くしていた。
そんな彼らに、「本気で来いよ」と、この試験の難しさをカカシも無言で伝える。
「でも、ま…オレを殺るつもりで来る気になったようだな。 やっとオレを認めてくれたかな? ククク なんだかな、やっとお前らを好きになれそうだ… じゃ、始めるぞ!
よーい… スタート!!!」