第24章 観察
カカシは、教室のある覗き孔から彼らの様子を伺った。
(あの金髪がナルトで、ピンクの子がサクラ、で黒髪がサスケね…)
観察を続けていると、事故によりナルトとサスケがキスをしてしまうという現場を目撃してしまった。
「やれやれ……さきが見たら悲しむぞ」
さきはサスケのことが可愛くて仕方ないみたいだし…男同士の接吻は多分さきにとってはまぁまぁショックだろう。
そしてサクラという女の子はサスケのことが好きなのだろうか。
やけにサスケに執着しており、先程の事故についてもナルトが散々責め立てられていた。
「しかし、見れば見るほど協調性はゼロだね…ま、個性的ではあるが…」
“仲間を大切にしないやつはそれ以上のクズだ”
“忍にとって何より大切なのはチームワークだよ”
“私は仲間を守らないということが、大切にしないということが許せません”
親友のオビト、恩師のミナト、そして下忍試験の時に三代目に叫んださきの言葉がカカシの脳裏に浮かぶ。
その言葉達を、もう一度自らの心に焼き付けるようにカカシはチリンと二つの鈴を鳴らした。
「やれやれ。 困ったね......」
その後も、カカシは三人の様子をコソコソと窺った。
ナルトはサクラの気を引く為、サスケに化けてサクラの元へ行ってしまった。
サスケはナルトに捕まってしまい、ロープで縛られている。
(何やってるんだか本当に…どうしようもないガキばっかりだ。)
サクラはナルトと気付かずサスケと思い込んで一人でロマンス状態。
ナルトは今朝カカシが発見した賞味期限切れの牛乳が原因なのか、腹を下し走り去って行った。
「纏まりってもんはないの?コイツらは。…と、あれは本物のサスケか」
縄抜けでロープから脱出したであろうサスケが、サクラの元に偶然にもやってきた。
そしてまた問題あり気な会話も聞こえてくる。
「…孤独…親に叱られて悲しいなんてレベルじゃねーぞ」
「…ど、どうしたの急に……」
「お前 うざいよ」
ナルトが邪魔でそんなこと言ったんだなサクラ…とカカシは察した。
(ま、このくらいの年齢のガキの考える恋だの愛だのは所詮そんなもんだろう。 確かに、心無い言葉ではあったがサスケもキレちゃって、こりゃチームワークの欠片のひとつもないな…)