第23章 She turns him on...
(……こんな時間に)
折角の甘い時間を邪魔してきた訪問者に、カカシは少しイラっとする。
が、逆に言うと良いタイミングだった。
あのままだともしかしたら、さきを欲望のままに抱いていたかもしれない……それは彼の本心が望んでいることではなかった。
名残惜しく彼女から顔を離したカカシは、さきの頭をポンと柔らかく撫でてから、マスクを戻しつつ玄関へ向かう。
一方のさきは、甘くて熱い余韻が醒めきらぬまま、先程カカシがやったようにわしゃわしゃと雑に片手で髪を拭きながら、玄関先の声をその場で盗み聞いていた。
「…ナルトがまた…〜〜! …〜〜封印…〜を持ち出して… …〜〜お願いします! …!」
カカシが足早にリビングに戻ってくると、その会話を聞いていたさきが、傍にあったカカシの服とベストと額当てと忍具を身につけやすいよう手に掛けて立っていた。
のぼせていようと、カカシのサポートには抜かりがない。
そんな健気なところがまた良くて、カカシは彼女からまた逃れられなくなってゆく。
素早くそれらを身につけながら、「厄介なことになったよ、どーも…」とカカシはボヤいた。
『うん…でも悪戯にしてはおかしいね』
「オレもそう思う。 ま、真犯人もすぐわかるでしょ。 じゃ留守番頼むよ。 水、ちゃんと飲みなさいよ」
『わかってる。 いってらっしゃい』
さきの見送りの言葉に笑顔で返事し、カカシは玄関から外へ飛び出した。