第23章 She turns him on...
一方の叱られているはずのさきはカカシの話をちゃんと聞いているのかも怪しい……黒く艶のある睫毛を伏せて、カカシの与えたボトルの冷水を勢いよくコクコクと喉を鳴らしながら飲んでいる。
『ぷはぁっ』と息を吐いて飲み口から離れた唇の端からは飲み込み切れなかった水が滴り、それが何とも艶っぽい。
もう一度『ごめん』と謝る彼女が、カカシに向けて開いたその大きく丸い目は、とろとろに熟れた果実のように蕩けていた。
(…やばいでしょ。…普通に。)
カカシは情欲をそそるその姿に、平静を装って手当を続けた。
彼女の血が無事止まると、カカシは脱衣場を片付けに席を立つ。
数分後、一仕事終えたカカシがリビングに戻り、先程手当てしたばかりのさきを見ると、彼女は赤く染まったままの、普段は見せない滑らかな素足をソファから放り出して『暑い』だの『死ぬ』だの、こっちの気も知らないで呑気に言っていた。
熱を逃がすように胸元をパタパタと手で仰ぐ彼女の髪は、まだ少し濡れたままのようだった。
カカシは行き場のないよからぬ欲を消すようにワッサワッサと少し荒っぽくタオルで拭いてやる。
「風呂えらく長かったね。 何してたの?」
『え?っと…カカシのこと色々考えてた』
その返答に、カカシはタオルを彼女の頭にのせたまま、ピタリと髪を拭く手を止めた。
「……ふーんそんなにのぼせるまでオレのことをねぇ…?…さき」
『なーに?』
「知ってるか? アリシンって興奮作用があって性欲を誘うために禁止してる宗教もあるらしいよ」
『え、何急に……… って、何都合よく食べ物のせいにしてんの…ちょ、カカシ…こらっ』