第22章 卒業試験
印象的なオレンジ色の服に、煌々と輝く綺麗な金髪。
『あれってナルトくん......』
(あの様子だと、あの子もしかして......)
さきの背後からは、さきと同様にアカデミーの敷地内を覗く大人達の、ナルトの合否についてやナルトに対しての悪態の声がコソコソと聞こえてきた。
なんて陰湿な大人達だ...とさきはあからさまに不機嫌になる。
(あの子がアンタたちに何をしたっていうわけ。)
さきは冷ややかな軽蔑の目でその声の主らを肩越しに睨んだ。
ただ、ナルトが卒業できなかった件についてはどうすることも出来ない。
合格基準を満たすことが出来なかったのだから...励ましの言葉すら毒になりかねない。
寧ろさきが声をかけたところで、ナルトからすれば「アンタ誰?」だろう。
目線をブランコに戻すと既に彼の姿はなかった。
『ん...あれっどこいった...?』
「誰を探してるの?」
『どぅわぁんっ!?』
突然気配もなく背後から聞こえてきたカカシの声にさきは盛大に驚いた。
「...また酷い声だね」
『カカシが驚かせるからやんっ! ...っていうかどうしたの?こんな所で』
「さきこそ何してるの?」
『私はサスケくんが卒業出来たか見に来ただけ。』
「あぁあの子ね。 大丈夫大丈夫。 今年はナルト以外みんな卒業したみたいよ。」
『やっぱり...ナルトくん、だめやったんや』
彼の寂しそうな姿を思い出し、どうしてかさきまでしゅんと肩を落とした。