第22章 卒業試験
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さきはドキドキしながら、ある家の門の前にいた。
『だ、大丈夫、おお落ち着いて! いつも通りやでいつも通りっ』
「...お前が落ち着いたらどうなんだ。 たかがアカデミーの卒業試験だろう」
『落ち着いてるよっっ?! はぁっ...お、お迎えに行こうか!』
「頼むから辞めてくれ。」
今日はアカデミーの卒業試験の日。
姉心で弟分のサスケに激励をと、さきは朝早くからうちはへ来ていた。
それで、何故かさきの方が緊張していて、当の本人は全くケロッとしている...そんな状況だ。
サスケが合格すれば、明日には班の発表だ。
(私と同じ木の葉の額当てを付けて、たまに一緒に任務とかしたりして...そしたら姉貴分としてこの子に頼ってもらえるだろうか...)
などとさきは淡い妄想を抱く。
彼女から見たサスケは弟フィルタ(贔屓)がかかっていて、どんなに憎まれ口を叩かれようが、それはそれは可愛い存在なのだ。
『それいい! 理想的! 頑張ってねサスケくんっ!』
彼の背中をパンっと押し出し、送り出す。
やれやれ煩い朝だ...と言わんばかりに迷惑そうな表情で「行ってくる」とだけ言い残し、サスケはアカデミーへと足を運んだ。
さきはこれから任務がある。
他の人を待たせては行けないと急ぎ足で集合場所へ向かった。
常に同じ班で行動するアカデミーを卒業したばかりの下忍とは違い、さきは他の下忍や中忍、極たまに上忍といつもバラバラのメンバーで組み、任務をこなしている。
だからこそ、明日の班発表が楽しみで、少し羨ましいのだ。
サスケくんの最初の仲間は一体どんな子達なんだろう...そして、どの上忍がつくのだろう...と。
里内を駆けるさきの近くをサスケくんと同じくらいの年齢の子どもが歩いていた。
(あの子も今日、試験かな?)
『みんな頑張れ。』