第22章 卒業試験
しかしさきは一丁前に気にはなっていた。
もし万が一そうなった時...カカシは、一体どんなふうに自分を抱くのだろうか.........と。
あれから何度もキスを交わした薄くてセクシーな口許、自分をぎゅっと抱きしめてくれる逞しい筋肉に覆われている引き締まった腕...それらから何度か想像したこともあった。
今だって...その細長い手指でどんな風に...と...
(...って、なんでこの話に繋がる? 私変態???)
ハッと我に返ったさきはわしわしと髪を搔き乱した。
自分の頭は本当によく思考回路が変わる。
『...あー!!ほんまに私って馬鹿』
「今に始まったことじゃないでしょ」
『カカシに言われたくないっ』
「どーせロクでもないこと考えてたんでしょ」
『どうせじゃない! すっごく重要なことですっ』
「あーはいはい。 あ、そういえばね......」
カカシはまた笑顔で話を続ける。
それをさきもうんうんと相槌を打ちながら聞いた。
彼らの関係は誰にも分かりえない、二人だけのもの。
それで今の二人は満足している。
部屋のベランダには、さきとカカシが大切に育てている花や木のプランターが並べられていた。
これから迎える春の季節に元気な花が咲くように...と、命の水を毎日欠かさずあげるのが、二人の日課になっていた。