第22章 卒業試験
しかし、担当上忍と中忍試験...どちらも通ればきっとそれぞれが忙しくなる。
さきは未だにカカシに好きだと言えないでいたし、恋愛というものがよく分からなくなっていたが、それでも一緒に居られる時間が減る寂しさは相も変わらず感じていた。
(ホンマに、どこまでも都合いい女よね。 全く。)
二人は長い時間共に過ごす中で、体の関係は一度も無かった。
...キスはよくするけれど。
しかしそれ以上を求めないのはカカシの優しさ以外のほかでもない。
女がキスを許すくらいなのだから、普通の男なら押し倒して始めてしまっても無理はないだろう。
それでもカカシは自分の欲望に負けることなく、彼女の為に踏みとどまっていた。
だからさきは寧ろ申し訳なく思っていた。
カカシが自分を好いてくれているということをちゃんと分かっているからだ。
いわば生殺し状態...普通に考えると最悪...いや、“かなり”最悪だ。
でも、自分が本当の意味で夫の死から前に進めない限り、きっとカカシは一生しないつもりだ...ということもさきは理解していた。