第20章 輪廻祭とクリスマス
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_____里へと向かう、その道中。
『そう言えばカカシ、これ知ってる?』
さきは、キラリと光る金のブレスレットがカカシに見えるよう、腕を突き出して見せた。
「いーや全然。知らないよ」
『え、本当に?』
「ホントホント。なーにそれ?よく似合ってるよ」
『え...っと、起きたらココについてて...』
「へぇ、そう。あーそれなら、サンタさんとやらが来たんじゃない?」
カカシはニコニコと楽しそうに笑っている。
どうやら“サンタさん”という名前だけは、しっかり間違いなく耳に残っていたようだ。
流石のさきも、ああ成程と合点がいった。
「あ、でも...任務中は外した方がいいと思うよ。 もし落としたりでもしたらサンタさん悲しむから」
眉を八の字にして困ったように笑う彼は、人差し指で頬をかく。
まるで自分が付けましたと言うように。
『ふふ...そうやね。そうする! ...ああでも今日は、付けてようかなっ』
「ああ...でもいい子にしてないとサンタが来ないって本当だったんだな」
『え?...どうして?』
「オレにはサンタは来なかった」
『えっ?!あっ...ああ、それは...!』
カカシへのプレゼントはちゃんと帰ってから渡そうと...
「やっぱり昨日やり過ぎたからかなあ... 幾らキスだけだったとは言え、そりゃあんな蕩けた顔されたらいい子にしてられるわけが...」
『んもうっ!カカシ?!』
やっぱりカカシのサンタさんになるのは辞めておいた方がいいのかもしれないと、慌てて言葉を被せる。
そして来る時と同様、さきは「はあ」と大きな溜息をつきながら、大きな木から木へと飛び移り、目的地へと駆け抜けた。