第20章 輪廻祭とクリスマス
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翌朝、いつの間にかカカシの胸の中で眠りついていたさきは、一人布団の中で目覚めた。
隣にいるはずのカカシはおらず、キョロキョロと覚醒しきらない頭と目でぼうっと周囲を確認する。
どうやら忍服も消えている。出掛けているのだろうか...
欠伸を噛み殺しながら起き上がったさきは、寒さにフルルと肩を震わせ、布団に足を入れたまま浴衣から着替えを始めた。
...ふと、朝日を受けてキラリと光る細い物が視界の中に飛び込んできた。
『ん...なぁに...?』
それは自分の手首にあった。
金色に光る美しい輝きに、思わず手を天井の方へと伸ばして、キラキラとその輝きを楽しんだ。
(綺麗...でも、私こんなの持ってない。)
それに、身に付けた記憶も無かった。
はて、と天井を仰いで考えていると、背後からジョリジョリと大きな音が聞こえてきた。
『な、なになに?』
穴の空いた障子を開くとそこは...
『わ...すごい...』
一面雪に覆われた銀色の世界が広がっていた。
ホワイトクリスマス...というのだろうか。
見事な景色に息を飲み、寒さを忘れて窓を開いた。
「おーい起きたのかさき。おはよう」
聞きなれた低い声が下の方から聞こえる。
声のした方向を見やると、大きなシャベルを片手にした、宿の前の雪掻きを終えたばかりのカカシの姿があった。
『おはようっ...ごめん!手伝えなくって』
「ん?ああ、いいよ別に。 そんなことより、凄い景色だな。 道理で昨晩は冷え込んだわけだ。」
『そうやねー...」
太陽が雪に反射してキラキラと眩しい。
うっとりとそれを眺めていたが、こんなことをしてる場合ではなかった。
早く里に帰らないとまた夜になってしまう。
いそいそと荷物を纏めて、ご老婦に挨拶をし、二人で宿を後にした。