第20章 輪廻祭とクリスマス
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...里に帰ってからは、せっかく用意したプレゼントなので、やっぱりカカシに渡してあげることにした。
「こっ...これは...!!」
『イチャイチャシリーズ最新作のイチャイチャバイオレンス...好きでしょ?コレ』
「売り切れ続出だって言うのに、よく手に入ったね?!ありがとう!ホントにありがとね!!」
右目をキラキラと輝かせ、手をギュッと握って喜ぶカカシ。
...こんな彼を見た事なんて一度もない。
早速目の前でパラパラとページを捲り、読書を開始しようとする。
まぁ、本一冊でこんな風に喜んで貰えるなら、昨日のキスも許してあげようか、と目線を下に下げた時、再び柔らかい唇が自分のものと触れ合った。
チュ とリップ音を残して離れたカカシの唇は、緩ませた頬に素直に従いクイッとその両端が持ち上がる。
「いい子にしてなくてもサンタが来るなら、これからも心置き無くキス出来るな...」
もう一度徐々に近づく顔に、『ああもうまたか』と半ば諦めたように目を閉じる。
...が、一向にやってこない唇の触れ合う感触。
さきは、まだかな...とチラリと片目を薄く開けて様子を伺った。
「どうしたさき? ...もしかして...待ってるの?」
分かりきったような顔で、平気なトーンで意地悪をするカカシ。
そして待ち侘びていた唇の代わりに、おでこがコツンとぶつけられた。
図星を突かれたさきの顔はみるみるうちに赤く染まって行く。
「なっっ...!そんなわけっ......もう返してよその本! 没収する!」
「いやーだ、返さないよ」
自分と似ていて、闇を抱えていて、自分のことを好いていてくれているカカシ。
今はそんな彼が何よりも大切で、自ら求めてしまっている...
カカシを都合よく利用してる...そんなつもりなくても、彼や第三者からすると、それは否定できないことなのかもしれない。
でも......
(私はカカシのことが心から大切で、何より護りたい...今はその事実だけでいいよね......)