第20章 輪廻祭とクリスマス
「満足した?」
『ば、バカ! そういう意味で言うたんやないよ!』
「え?物足りないって言ってたでしょ」
『だから...っ』
「嫌だった?」
『嫌とかそういうんじゃ...』
...ないけど。
カカシとの、二度目のキス......初めての、カカシとのこんなにも深いキス。
何年かぶりの男性との濃厚なキスは、不思議と嫌悪感や罪悪感に苛まれることはなかった。
それにキスだけでこんなに翻弄されるのは生まれて初めてのことだった。
そういうつもりが無くても、無意識のうちに夢中になってしまう...まるで媚薬のようなキス。
「じゃ、もう一回する?」
『え?!なんで?!』
「プレゼントのお返し、欲しいじゃない」
『お返しがなんでもう一回なんよっ』
「なんでって...お前が好きだし、したいと思うからに決まってるだろ...」
カカシはキョトンと彼女の顔を見た。
『こ、困るってば嬉しいけどっ...あの時は私も高ぶっててその...カカシのことは大切なんだけどでも...〜っだから今はちゃんと答えられな...』
「今は高ぶらないの?」
『は?!』
「したくなんないのって聞いてんの」
『なっ! だってカカシも男やし変な気起こすかもしんないしっ』
「その言い方だと、するのは嫌じゃないんだな? 」
『...!』
「大丈夫、オレを信じろ。さきとそんな安い関係になるつもりはないよ」
『...ホンマに?』
「そ、“ホンマ”。 お前が嫌がる事はしなーいよ。 だからキスするのが嫌じゃないなら、もう一回しよ。 どうしてもオレを信じられないなら、殴ってでも拒んでくれていーよ」
屈託のない笑顔を向けるこの男は心から楽しそうにしている。
さきは、冗談じゃない。殴るとかそれ以前に、これ以上カカシのペースに持ち込まれてたまるか...と、フイっと顔を背けようとするも...
ものの一瞬で捕らえられた唇は、クラクラとするほど甘い媚態にすっかり翻弄され、カカシによって一度だけではなく、何度もたっぷり堪能されてしまった。
さきは軽い抵抗や少しの悪態はつくものの、カカシの甘く溶けるようなキスを拒むことはなかった。
そんな彼女の様子に、カカシは酷く満足していた。
そして、宣言通りそれ以上のことはしなかった。