第20章 輪廻祭とクリスマス
...言葉とは、時に大変難しい物だ。
思っていること全てを口にすれば、まだ上手く伝わるのかもしれないが...これがその良い例である。
カカシは驚いたように目を大きく瞠って、それから再び緩い三日月形になった。
そうかそうか、“物足りない”のか_____...
カカシはスルッと口元の布を下にさげ、チュッと可愛らしい音を立ててさきの額にキスを落とした。
思いがけない突然のことに、さきは動揺の色を隠せない。
『え?え?』と戸惑っていると、顎をクイと持ち上げられ、そのまま唇が優しく覆われた。
ちゅ、ちゅと唇をくっつけるだけのキスを何度か繰り返した後、次第に上唇、下唇を啄むようなキスに変化する。
カカシは、また体を硬直させて固まったままのさきの顎から手を離して、後頭部にその手を伸ばした。
すると更にキスが深まる。
上唇と下唇の僅かな隙間をチロっと舐めると、さきの口が瞬間的に開かれる。
それを見計らってカカシは、長い舌をその隙間にスルりと差し込んだ。
『んっ』
小さく鼻から抜けるような声を上げたさきに、自然とカカシの口角が上がる。
ヌルヌルと舌を動かして、歯列をなぞり、上顎を擦り、舌を絡め取って吸い上げる。
何度も何度も角度を変え、呼吸さえ飲み込むような口付けは、次第にさきの緊張を解き、遠慮がちにそれを受け入れ始めた。
唇を啄み、舐めまわし、舌が口内を奔放に踊り、互いの唾液を交換し合う。
先程解かれたはずの足は、再び自然と絡み合っていた。
チュ...と音を鳴らして、惜しむように顔がゆっくり離される。
甘い吐息を漏らしながら余韻に浸るさきの瞳には、マスクを外した端正な顔のカカシが舌舐りをしている姿が映った。