第20章 輪廻祭とクリスマス
するとカカシは突然、さきの冷たい足先を自分の足に挟み込んだ。
『ひゃっ?!』
「いや、それはこっちの台詞。 何なのこの足? めちゃくちゃ冷たい...」
さきもカカシも浴衣なのだ。
布団を被っているので直接目には見えないが、布団が擦れたせいで裾が捲り上がり、カカシの浴衣は少しはだけていた。
彼女の足を腿で挟み込んだことで更に布の重なりが疎かになり、肌と肌が直に触れ合う。
少し乾燥した肌と、厚みと重みのある筋肉。
いくら足とはいえ、今まで触れたことがなかったカカシの体の一部から、まざまざと男を感じたさきは、顔を真っ赤に染めていた。
男性の体に触れたことがない訳では無い。
しかしカカシとなると、自分でも驚くほど緊張してしまう。
誰が見てもそれは恋...そう思えるのだが、さきは簡単にそうとは認めることはできない...
でもそんな頑なで臆病なさきの心の代わりに、体はとても素直だった。
余りの足の冷たさに、眉間に縦じわを寄せていたカカシが、カチコチに固まってしまっているさきに気付く。
ククと喉を慣らして彼は笑った。
ほんの悪戯心で、彼女の手足を温めている両手と両足に少しの力を込めてやる。
すると、『っ!』と声にならない緊張の悲鳴が薄く開かれた唇から漏れた。
(あー可愛い。)
さきの反応は、カカシのよからぬ心を刺激する。
“もっと困らせてみたい”と。