第20章 輪廻祭とクリスマス
「さき」
『な、なに...?』
「もっとこっち寄って」
『えっ、でも...』
「お前の冷たい手足で少し寒くなってきた。 もう少し寄って温めてよ」
確かに、自分の手足は氷のように冷たい。
...そう言われては申し訳ない...さきは少し身構える思いで、曲げていた膝をゆっくり下ろして伸ばした。
カカシは、あまりに素直なさきにフッ と笑う。
その伸ばされた足を覆う布の隙間に自分の長い足をスラリと差し入れて、彼女の足と自分の足を絡めた。
『ちょっ...カカシ!』
「ん?なーに?」
『足離して...!』
「えー?オレも寒いのに...ダメなの?」
『だ、ダメダメ...!』
彼女の顔の色が見えるほど明るくはない部屋の中。
それでも耳まで真っ赤に染めているさきの顔が容易に想像できてしまう。
「やれやれ」と息を吐きながらカカシは絡めた足をわざと解いて、自分から彼女の方へと身を寄せた。
カカシの息がマスク一枚を隔てて、額にかかる程に近い距離。
さきの高鳴る心音は、容易にカカシの耳まで届いて、カカシはニンマリと口角を吊り上げた。
「でも、もう暖かくなったでしょ?」
『あ...』
言われてみれば、先程までの寒さは1ミリも感じない。
むしろ熱さを感じる程。
まあ、何のせいとは言わないが...
『ありがと...』
「ふふ 輪廻祭のプレゼントだとでも思ってよ」
『...えぇ?これが?』
「何、不満か?せっかく温めてやったのに」
『不満...とかではないけど...』
普通、プレゼントって何か物を渡すのではないのか?とさきは思った。
もしくは、どこかへ連れてってくれる、とか...美味しい料理を食べる、とか...
つまりそれと比べるとなんだか...
『物足りない』