第20章 輪廻祭とクリスマス
(た、たしかに。)
でも...それは自分たちの家で、あのベッドだからこそ自然に出来ること。
場所が変わればそれはもう、慣れた習慣とはまた別だ。
どうしよう...とモジモジしてると、ピューと甲高い音と共に冷たい風が室内にまた入り込んだ。
『...っくしゅん!』
「ハハ...ほらおいで... 早く来ないとここも冷える」
ポスポスと叩かれる空いたスペース。
さきはスンと鼻を啜って、カカシの笑みに導かれるようおずおずと自分の布団を抜け出した。
そして、『お邪魔します』と挨拶をして冷えた足先からカカシの布団に入りこんだ。
一人で包まっていた先程までの布団とは違い、カカシの体温によって温められた布団は、湯たんぽでも仕込んでいるかのような心地よい暖かさだ。
『あったかーい...』
先程までの照れたようなさきの表情が、ふにゃりと解けたように緩む。
カカシは満足そうに、目を三日月形に細めた。
「手足が冷えてると、睡眠の妨げになるんだよ」
『あぁそうなの...?もう悴んじゃって大変よ』
「ん?どう?」
布団の中でカカシの手が動き、さきの冷たい手を探す。
胸の膨らみの前にあった手は、温かく大きな手に簡単に包まれた。
カカシが触れたところから熱が伝わり、またさきの心臓が大きく跳ね上がった。
「冷た...お前かなりの冷え性でしょ」
『う、うん...多分そう...』
「お前も女なんだから、ちゃんと温めないと体悪くするぞ」
『...うん...やね...』
何だか余計に恥ずかしい。きっと変なこと思い出したからだ。
いつも通りただ眠ればいいのにドキドキと高鳴る胸の音。
それを聞かれると思うと余計に緊張が迸る。
(これじゃ寝るに眠れないよ...)
いつものベッドで眠る時より格段に近い二人の距離。
ならば自分の安眠のためにも、少しでも距離を取って置いた方がいいと膝を畳み、その足をお腹の方に引き寄せた。