第20章 輪廻祭とクリスマス
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夜も更けて、すっかり気温も下がってきた。
さきはヒューヒューと吹抜ける隙間風から逃れるよう、ミノムシのように頭まで布団に包まって暖を取っていた。
カカシも肩まで布団を被っているが、大人しく目を閉じて動かない。
寒がりのさきは、カタカタと体が震えてきて、一向に眠気もやってこない。
どんどん冷え込む冬の寒さと、彼此一時間程戦っていた。
『...うう...』
モゾモゾと何度目かの寝返りを打った時、パチりと目と目が合った。
隣で寝ていたはずのカカシと。
(ね、寝てたんじゃなかったん?)
驚いたせいか、ドキッと胸が高鳴った。
「眠れないのか?」
『う、うん......寒くって...』
カカシに見つめられていると、任務によっては野宿も有り得るというのに、下忍と言えども自分の甘さに何だか情けなくなってきた。
と同時に、何故かこのタイミングで先日のデートを思い出す。
〈オレは...お前が本当に好きだよ。〉
あの時は感情に任せて想いを伝え合い、受け止めた。それに...
(...キスもしたんだっけ)
今更何を思い出してるんだと、スイと目を背けて肩を窄めた。
あの時カカシとキスが出来たのは...寧ろ、キスしたいと思ったのは、カカシという存在自体を彼女が心から求めているから...
そして、彼女がカカシの気持ちを受け入れたからだ。
カカシの気持ちへの拒絶はなく、寧ろ嬉しいとさきは感じていた。
だからしたというのに、今冷静に思い出すと顔から火が出るのではと思う程恥ずかしい。
(ホント都合良いな...よく出来たよね私)
「来る?」
『...へ?』
その事でほんの数秒遠くの方へ行ってたさきは、突然何を言われたのか理解できずに聞き返した。
「こっちに来るか?暖かいよ」
『え...えっ?!』
「えって何...いつも一緒に寝てるでしょーよ」
カカシは掛け布団を少し捲り、一人分のスペースを空けて体ごとこちらを向いた。