第19章 誓いのキス
二人は共に死の上に立って生きることを誓った。
消すことができない...“過去にできない過去”を背負いあって生きていく。
そしてこの人を“護りたい”。
二人の気持ちはこう重なった。
思い出すだけで涙が溢れてくる“あの事”を、この先絶対に忘れることは無い。
でも、自分が泣いていることを忘れてしまうくらい“キミ”には笑っていて欲しいと思うから。
二人の頬には一筋だけ乾いた涙の跡が残っていた。
気温はぐっと下がり、また空からは雪がチラつく。
さきの素足を冷たい冷気がチクチクと刺す。
それでも、心はとても暖かかった。
『顔見せて』
さきはカカシにマスクを取るよう要求する。
「そんなに気に入った? オレの顔」
『馬鹿。 でもかっこいいよ』
「それは男として嬉しいね」
スルリと顎下まで下げられた黒い布。
顕になったカカシの顔は、先日見た時よりも心做しか優しく見えていた。