第19章 誓いのキス
『カカシ』
その声は透き通っていた。
カカシが顔を上げると、自分に背を向けて立つさきの姿があった。
『今日はありがとう。 すっごく楽しかったよ。
...今日はね、カカシのことを知りたかったの。 それと...自分の気持ちも......ちゃんと考えなアカンなって。
それでね...私...... 今の私には、恋愛って凄く難しいものみたいで...
確かにカカシといると、ドキドキしたり恥ずかしくなったり...突然甘えたくなったりもする。
でも...この気持ちが、恋なのかと考えた時、自分じゃ判断つけられない...
恋だとしても、認めて自覚することが怖い。
だって...私もカカシと一緒で、“そこ”から動けないから』
さきにとっての“そこ”とは、愛する夫の死だ。
両親の死を経て、恋をした相手である彼は、人生を共に歩もうと決めた相手。
その彼はさきの恋心ごと攫って死んで行った。
カカシは黙って聞いていた。
『けど、カカシと一緒にいると、こう思う。
私達は意味が在って出会ったんやろうなって。
そうじゃなきゃ、私はこの世界におらんよね、きっと。 そう思いたい。』