第19章 誓いのキス
(あぁ本当によく似ているな、私とカカシ。)
なんでこんなに似ているのか......
ぽつりぽつりと呟くように話すカカシの顔を、さきは下からそっと見上げた。
(......こんな顔を、私もしてるのかな。)
カカシの表情はまるで寒い冬の、低い灰色の曇天のようだった。
微かに俯いた顔は暗く、どんどんその影が色黒くなってゆく。
ゆっくりと瞼を閉じていくカカシの顔を、さきは鏡に映し出された自分を見るかのように見た。
そして、そんなカカシをできるだけ見たくないとも思った。
今日、聞いたカカシの昔の話。
それは自分の身に起きたこととは全く別なことなのに、その話すらすんなりと自分の中に落ち着いた。
冷たい風が二人の後ろから吹き抜け、乾いた森の音が鳴る。
(カカシ.......私は..........)
さきは、ある答えに辿り着いた。
さきはその場で立ち上がり、慰霊碑に向き直って、カカシを見ずに話し始めた。