第18章 お揃いデート
人気の少ない道を、会話しながらゆっくり散歩する。
何てことない穏やかな時間...さきはそれがとても楽しかった。
カカシは何度か、さきを気使うような発言もしていたが、さきからすれば、逆に何にも気にかけて欲しくなかった。
さきはカカシの話を聞きたかったから、こんなふうにゆっくり流れる時間がとても嬉しかったのだ。
カカシは困ったような顔や、時折少し辛そうな顔をしながらも、彼女の質問に沢山の話をした。
さきは、カカシが話しにくいことも沢山聞いた。
彼の父親である木の葉の白い牙と呼ばれた英雄...サクモのこと。
神無毘橋の戦いで岩隠れの忍の手にかかり失ってしまったうちはオビトのこと。
そして彼らのチームメイトであり...カカシの手に掛けてしまった野原リンのこと。
戦争のこと...暗部時代のこと...先生である四代目火影、波風ミナトのこと。
『そうやったんや。 ......うん、なんか今のカカシに繋がってるなって...私やっとカカシのこと...だいぶわかった気がする。
ありがと、聞かせてくれて。』
さきは、カカシの思いや考えを否定も肯定もしなかった。
自分の意見も何も述べない。
そんなことをしなくても、何故か分かるからだ。
カカシの気持ちや、その行動が。
だからただありのままを聞き、そして受け止めた。
そして、さきの記憶の中のあの一枚のメモ用紙と繋がった。
初めて、カカシが自分と似てると思った、写輪眼の本の中から見つけ出したあのメモ。
あの中には実は、さきがもう一つ気になっていたことがあった。
それを本人に聞くことは出来なかったのだが。
(カカシ...あなたの写輪眼...その目は今何処まで進んでいるの...?)