第18章 お揃いデート
家を出発し、里の繁華街へ向かって歩いていく。
さきより半歩前を歩くカカシは優しいグリーンのコートを着ている。
...なんだか色合い的には結局あんまり普段と変わらないな...と思ったさきは、『ふふ』と笑った。
「何笑ってんの?」
『いや、そのコートいいな~って。 ...ねぇ、カカシは髪の色とか髪型変えないの?』
「ん~別に興味ないからね」
『ふ~ん? 茶髪とか、パーマとか...ふ 想像つかんけど面白そう』
「面白そうって... 絶対別人でしょそれ。 変装にはいいかもだけど」
『確かに。 その時は目の色も変えちゃおうよ。カラコンとかしてさ。 やってあげる! プロデュースドバイさきでどう?』
いつの間にかさきとカカシは普段通り普通に話せるようになっていた。
そうして他愛もない会話を交わしているうちに二人の前に、木の葉の繁華街が見えてきた。
紅やアンコが言ってた通り、年末のビッグイベント効果なのか、たくさんの人でごった返している。
さきたちがその通りに一歩ずつ近づくたびに、人々の喧騒と熱気が少しずつ伝わってくる。
『うひゃーすごい』
「こりゃーすごい」
その通りの直前で立ち止まって、きっと思っていたことは二人共一緒だった。
でもまた同じ様な言葉を、同じタイミングで、同じ様に言うなんて。
カカシとさきはキョトンと顔を見合わせて、どちらからともなく吹き出すように笑い始めた。
『ね~ 真似ばっかりせんといてよカカシ』
「お前がいつも真似するんでしょ」
「ハハハハ」と声を上げて互いにひとしきり笑い、まだ収まらない笑いと共にさきが肩を揺らしていると、そんな彼女の左手をカカシの右手が掬った。
「人混み苦手?」
『ふふ 多分カカシが思ってる通りじゃない?』
「そう? じゃ、行こうか...」
さきはカカシに手を引かれ、二人はその賑やかな繁華街を離れた。