第18章 お揃いデート
まず言えるのは、とにかく彼のスタイルの良いこと。
180センチを超える長身に...男らしい広い肩...足なんて雑誌モデルに勝るとも劣らない長さで、どんな服も彼ならきっと着こなしてしまうだろうと容易に想像がついてしまう。
そんなカカシの今日の服装は...額当てはないが、相変わらず口元を黒く覆うマスクは健在だ。
そして、“黒のタートルネックのニット”に少し濃い目のグレーのパンツ...
(......げっ、ちょっとかぶってる~~っ)
たまたま選んだ私服までも被ってしまうなんて絶対どうかしている。
一体彼とはどこまで気が合うんだ......さきがそう思っていると、カカシもそれに気づいたようで、「服、お揃いだな」と微笑みながらさきにコーヒーを手渡した。
さきは『そんなこと言わんでよっ』と心の中で彼に言う。
...だってデートでお揃いなんてなんか恥ずかしい...
ピンクのマグを受け取ったさきは、照れを隠すようにカカシから目線を外してツンと素っ気ない態度を取った。
コク とひと口、口に含んだコーヒーの味は大好きないつもの味。
『はぁ、おいしい...』
さきの口から自然と出たのは服とは全く関係ないコーヒーの感想だった。
「えぇ...無視? ま、それはよかったよ」
さきはやはり、どうにも話しにくく殆ど無言だったが、...まだ微妙に慣れない新しい部屋で、自分と似たような服装をした見慣れないカカシと、二人並んでコーヒーを飲んでいる...という現実に、九割の照れと一割の幸せを感じていた。