第18章 お揃いデート
翌朝、さきはクローゼットの中から、黒色のタートルネックの膝丈ほどのニットワンピースを選んで取り出した。
(うん、これにショートブーツを履こう!)
最近は、ずっと忍服しか来てなかったから、私服を着るのも、素足を出すのも久しぶりで少し緊張する。
髪もゆるふわに巻いて、お化粧もいつもより念入りに施した。
最後にお気に入りのコーラルピンクのリップを塗り、コートとショルダーバッグを持ってリビングへ向かった。
そこには、コーヒーを淹れているカカシの後ろ姿。
美味しそうな香りが彼女の鼻孔を擽った。
『はぁ...いい香り』
「準備できたか? もうすぐコーヒー入るから...ちょっと待ってて」
『あ、うん』
カカシの広い背中越しに会話を交わしながら彼に近づき、そのすぐ後ろでコーヒーの出来上がりを楽しみに待つ。
さきにとっても、カカシにとっても、ゆっくりできる日の朝の一杯のコーヒーが至極幸せなのだ。
「おまたせ」と、両手にマグカップを持ったカカシが後ろを振り向いた。
今日のカカシは、一緒に暮らしてても殆ど見た事がない私服姿だ。
さきはそれを上から下へと順番に眺めた。