第16章 THE DAY -4-
『それ、その下』
さきは顔を覆うその手の指の隙間から両目と口元だけを見せ、“それ”という。
「...それって何?」
すると恥ずかしそうに両手を顔から外し、『それ』とカカシの顔と自らの口元を指さした。
(あぁ、もしかして...)
「このマスクのこと?」
『そ。それ。 その下。』
「この下がどうした?」
『......見せて。』
「え?...あぁ...なんだこの下が見たいの?」
彼女は短く、そうと答えた。
なんだ。そんなことか。
「ホントにそれがプレゼントでいいの? ただみせるだけなのに?」
『...だって頑なに見せてくれへんやん。その下。
私なんか今日だけでも、こんなブッサイクな汚い顔も、弱いところも何もかもカカシに見せてるのに、不公平やろ?
........うん、絶対絶対不公平。 あーなんかむかむかしてきちゃった』
(...まぁ、そりゃ女性からしたらそうなるか。)
と言っても彼女の今の顔は、確かに泣き腫らした顔ではあるけれど、それはそれで別にブサイクとかそんなことはカカシは全く思ってなどいないのだが。
「ブサイクじゃないよ。大丈夫。 マスクの下くらい言ってくれたら見せたのに」
カカシがそう言うと、『えぇ?!そうなん?!』とさきは全力で驚いた。