第16章 THE DAY -4-
「さっき、オレに言ってたな? オレとさきが一緒にいるとみんな勘違いするんじゃないかって」
『う、うん』
「......オレは別にそれで構わないけど?」
その言葉が理解できないさきではない。
文字通り顔を赤らめて、丸い目を更に丸くしてカカシの顔を見上げた。
「ふっ...何その顔。 で、どっちなの? さきがどうしたいと思ってるのか教えて欲しいんだけど...」
さきはどうしたらいいんだと目を泳がせ、斜め下へと目線を向けた。
何度か無言のまま瞬きをして、再びカカシの顔を見る。
『カ、カカシは、どうしたいの?』
「..........オレはお前が望むように」
これが最後の意地悪だ。
ちゃんと言葉にしなかった彼女に対する気持ちを押し付けているように思えてきて、これじゃ少し可哀想か...とカカシは心の中で苦笑した。
『....カ.....ない.....しい』
「...え?」
暫くの沈黙の後「ごめん違うんだ」とカカシが謝ろうとしたところ、蚊の鳴くような細い声で彼女は何かを発した。
聞き返すカカシに、彼女は涙を浮かべて吐き捨てるように言った。