第15章 THE DAY -3-
(...やめてよ。...また変なこと思い出すやん。)
きゅ... と締まるさきの胸。
自身の冷たい手とは裏腹に暖かいカカシの手。
重なり合ったそこから彼の熱が伝わるように、さきの頬はかすかに赤みを帯び、わずかな熱を持ちはじめた。
こちら側から見る彼の表情は額当てと口布で見えない。
一体どんな顔でいるのだろう...
『...カカシはさ、彼女作らへんの?』
さきは歩みを進めながら彼に問うた。
「何で?」
『いや...カカシって女っ気全然ないから...』
「別に欲しくないわけじゃないよ。出来ないだけで。」
『カカシが? そんなわけないやろ。 優しいし強いし気が利くし...モテるんやろ?実際』
「...どうだろうねぇ」
『絶対そう。 やのに、ゴメンね私なんかが一緒に生活したり、修行やらでカカシを占領したりして。 ...みんな勘違いするよねきっと』
「どうかな~勘違いねぇ......あ、ここだよ」
『え、ここ?』
カカシは話の途中で突然立ち止まり、あるアパートを指さした。
『...誰んち?』
「ま、おいで。 今度こそ階段転けるなよ。」