第11章 初任務
任務開始からはや三日目。
さきにとっては、まるで年の離れた可愛い弟が出来たようだった。
『っちょ!サスケくん!お弁当忘れてる!』
「...あぁ」
朝早くから宿を出て“うちは”へ向かい、朝食とお弁当を作って玄関で見送る。
ここで可愛らしい彼の登場だ。
「...今日は、忍術の修行をしに池の方へ行く。 ......お前も時間があるようなら...」
『分かった。 アカデミーからは真っ直ぐ帰ってきてね。 私もその修行に付き合うから。』
サスケはフン と少し満足そうに、さきの手から弁当を受け取って扉を開ける。
『行ってらっしゃい、サスケくん』
さきが『行ってらっしゃい』と言うと、サスケは決まって照れを隠すように短く「あぁ」とだけ呟く。
そして、アカデミーへと向かっていった。
さきは一通りの家事を済ませ、自分自身の修行をこなし、また帰宅して夕飯の支度をする。
夕方にはアカデミーでの授業を終えたサスケが、再び黙って家の中に入ってきた。
『サスケくん、おかえり。 どうやった?今日のアカデミーは』
「...別に何も変わりない。 そんなことより早く行くぞ。」
『こら待って!その前に はい、お弁当箱出して。』
修行のことになると熱くなる彼だが、それ以外はほんの小・中学生の子供となんら変わりない、少しだけ捻くれた可愛らしい子だった。
昨日ここへ来るまでは、...幼くして家族を失っているのだから、それはそれは暗い子か、それとも相当擦れてるか...などとさきは思っていたのだが、そんな心配はなかったようだ。
ある一点を除いて。