第11章 初任務
さきは高く高く飛び上がり、全ての的を確実に見極めながらトントントンと軽快な音を立てて的を射ていく。
角度の調整が難しいものには、クナイとクナイをぶつけあい、微調整を行う。
軽やかにそしてしなやかに宙で舞い、音もなく地面へ着地した。
その様子を驚きの表情で見つめるサスケ。
『こんな感じ。 サスケくんは全体的に力が入りすぎやね。 もっとこう...柔らかさのある力を利用して投げると上手くいくよ。』
さきが投げたクナイは、サスケが射る事のできなかった的もしっかりど真ん中を捕え、その他の的も、サスケの投げたクナイよりも正確な中心を捕らえていた。
「......お前本当に下忍か?」
『え?...ねぇどういう意味よそれ。 この額当てをたった三日前に貰ったばかりの超~新人やけど何か文句でも? 少年』
「いや...」
さきはつかつかとサスケに歩み寄り、ムッツリと唇を尖らせたまま腰を曲げて顔の高さをサスケのソレに合わせる。
生意気な少年はしばらく黙り込んだ。
そして観念したように溜息をつき、
「...別にお前の世話になるつもりはないが...さき...お前の手裏剣術をオレにも教えてくれ。」
そしたら、数日間の家の出入りは許す...と続けた。
呼び捨てにされたことにはほんの少々驚いたが、自分を少しだけサスケに認めてもらえたことにさきは喜びを感じた。
『いいよっ 私の手裏剣術は《天才忍者》直伝の技やからね。』
こうしてカカシのいない間の任務が始まった。