第1章 真夏の旅人
「…そうか。 すまぬが、ここで住む人間に、日本や大阪という土地の名を知るものはおらん。 このままではお主を投獄する必要がありそうじゃのう。」
まったくその通りだ。怪しいことこの上ない。どこかの国のスパイである可能性は十分にあるのだから。
カカシはどこか冷ややかな目で、座り込んだままのさきを見おろす。
『えっ…?!じゃ、じゃあここはどこ?! あなた達誰なんよ?! 私は今どこにいてるわけ?!外国?!』
彼女は慌てた様子で敬語をも忘れ、またどこかの方言を使いながら話した。
「…ここは火の国の木ノ葉隠れの里。忍が住む、隠れ里のひとつだ。 この方はこの里を納める長の三代目火影様。 オレは上忍のはたけカカシだ。」
『ひの…くに?隠れ里…し、のび??』
丸く大きな目を更に丸くしながら彼女は問う。
その反応から推測するに、おそらく彼女側も、こちらの地名などを一切知らないのだろう。
「ほう、五大国の名を知らんとな…ますます謎が深まるわい。」
『あ、あの!あんた達ヤ○ザ屋さんじゃないの? し、忍ってあの忍のこと?忍者?!』
「忍者以外を忍と言うのか?」
『……言いませんよね…』
再び室内が静まり返る。