第11章 初任務
火影室を退出したさきは現在、とても立派な門構えの家の前にいる。
何度かインターホンを鳴らしたところだ。
だが、辺りはシン...ととても静かで、本当にここに人がいるのだろうかと不安になる。
トントンと軽く扉を叩き、『すみませーん』と何度か声を掛けるも、全く返事がない。
(おかしいな...確かにいるって火影様は...)
そう不思議に思いながら扉から一歩下がると、カラカラとそれが少しだけ開いた。
「......誰だお前」
『あっ!』
やっと目当ての人に会うことが出来た。
『キミが、うちはサスケくんやね? 私は下忍の夜野さき。 今日から一週間、キミのお世話をさせてもらうから、宜しくね?』
サスケと言う子は、うちは一族の末裔で、この立派な家にたった一人で住んでいるらしい。
そう。今日から一週間、このサスケくんの面倒を見ることが火影様に与えられたさきの初めての任務だった。
彼はジャ○ーズ事務所の所属タレントのように整った綺麗な顔をしていたのだが...
「...そんなもの頼んでない。人違いだ。」
と、吐き捨てるように言うとピシャリと勢いよく扉を閉め、危うくさきの顔が扉に挟まれそうになった。
さきは咄嗟に手で扉の勢いを殺し、それをギリギリ阻止する。
『っちょ!あぶない! 初対面でしょーが。 キミで間違いないよ、サスケくん。』
この子の一族は、自身の実の兄に一人残らず殺されてしまった。
それから数年経つ今も尚、彼はこの家でたった一人で過ごしており、現在は春に卒業試験を控えたアカデミー生なのだという。
そんな心痛む事件を経験した彼は、修行や勉学、忍術に取り憑かれるように勤しみ、今年卒業となる予定の同期の子達の中では群を抜いてトップの成績を納める超エリートだそうだ。