第10章 彩火師
『見ててね』
そう言ってさきはチャクラを練り始めた。
カカシは写輪眼を出して彼女の動きとチャクラの様子を傍で見守る。
さきはそのままいくつかの印を組み、最後に虎の印となったところで、両手で組んでいたその印を崩し、右手はそのまま顔の前で、そして左手は開放し体から離して構えた。
ぐ...と体内を流れるチャクラの練り方を変える。
すると、黒くパチパチと光る小さな玉が右手の立てた二本の指の前に出現した。
「なるほど.......形態変化させたってことか」
修行開始からたった一日、二日。
いつの間にこんなのできるようになっちゃったのよ......と、カカシは彼女の創造センスに感心した。
『上手くできるかはわからんけど...』
彼女は右手を前に突き出し、『は!』と声を発してさらに力を込めた。
するとその瞬間、その黒い火の玉は手元からパッと消えてしまった。
...かと思えば、まるで瞬間移動したかのように、さきの右の指がさしていた二人の前方の少し離れたところで、水色の火花がパンッ!!と破裂するように光った。
それはまるで、小さな打ち上げ花火の様だった。