第10章 彩火師
『見た?! 見た見た見た?!?!今の! カカシカカシ!私すごくない?? 今のどう見ても花火よねっっ』
キャイキャイとはしゃぎ、喜ぶさき。
カカシは驚きのあまり目が点になっていた。
「......いや~...まさかあんな風になるとはね」
それはカカシの想像以上のものだった。
さきは、まるで本物の花火師のようにあの黒い球体の中に、最終的な技の構造まで作り上げて込めて放ったのだ。
『カカシが完成させてくれたんやでっ。 雷切のヒントのおかげ! 片手に電撃を集めてるとことか、近距離専用の技ってとことか!』
「...それでもたったあれだけでこれだけのことを考えて術にしちゃうお前の創造力が怖いよ。」
『ふふ。 もっと極めていけば、今のが基礎となって色んな攻撃技になるね! 沢山術が作れそうっ...』
『楽しみ~』とさきは笑う。
あまり危険な戦場には行って欲しくないなと思う反面、これから里の大きな戦力になって行くであろう彼女の“天才”ぶりに、カカシの胸も少しばかり弾んだ。
『もし万が一カカシと任務に出る時はさ、私はしっかり援護するね!』
「あぁ、楽しみにしてるよ」
これが、さきの彩火師(はなびし)としてのはじまりだった。