第10章 彩火師
まずカカシは、さきの不思議なチャクラについて説明した。
チャクラを練り込む量によって色が変化すること、そして練り方で流れが変わること。
「お前は無意識だろうけど、これって普通じゃ考えられないことなんだよ。 ...だから、それを利用する」
『...どうやって?』
つまりは、カカシは「花火」のような技を作ろうとしていた。
好都合にもさきは火遁の性質を持つ。
カカシの思い描くイメージにピッタリだった。
それをどう技にするかは彼女の力量次第ではあるのだが。
「とりあえず、チャクラを練り上げて、火を起こすとこから。 巳、申、虎の印を組んで...その枝を燃やせるようになったら第一段階クリアだ。」
難しそうな顔をしながらも、さきはひたすらチャクラを練っては放出を繰り返し、足元の枝木を燃やす修行を始めた。
カカシはその隣で読書をしながら余計なことは言わずに只管待つ。
何も無いところに火を起こすのはかなりの精神エネルギーと想像力が必要になる。
しかし、さきの特技はハンドメイドだ。
彼女が想像したものを一から作り上げることは日頃から繰り返し行われ、しかもそれに長けている。
だからコツさえ掴めばこれはいけるだろうとカカシは踏んでいたのだ。
そして......開始から僅か一時間が経過した頃、カカシの予想通り枝木に火をつけることのできたさきが、
『カカシカカシ!できたよーーっ!』
と嬉しそうに彼の名を呼んだ。