第36章 ぶかぶかシャツ 東リベ 三ツ谷隆 ほのぼの
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俺としかいない放課後の被服室。
ミシンの音とがめくる本の音が響く。
しばらくするとパタリと本を閉じた音がして
顔を上げると彼女はジッと俺の姿を見つめていた。
「もう、終わったの?」
残念そうな顔で首を傾げるに
「いや、がこっち見てたから。
なんか用か?」
そう尋ねると、彼女が首を横に振る。
「三ツ谷のミシンの音好きだから、
もっと聞きたい。」
はそう言って目を閉じた。
彼女にそう言われると緊張して、
縫い目が若干歪んでいた。
ようやく形になった作品を前に
はポツリと呟く。
「三ツ谷・・・いつか、私の服作ってくれる?」
俺は柄にもなく、緊張しながら
彼女の横顔を見つめた。
「お前が三ツ谷になる時に作ってやるよ。」
は首を傾げて少し考えてから、
俺を見上げてニッコリ笑う。
「約束ね。」
コイツ、意味わかって言ってんのかよ。って、
思ったけど、が楽しそうに笑ってるから
それだけで、もういいような気がした。