第35章 泣いているのを押さえつけて 東リベ 三途春千夜 シリアスめ
ブラブラと歩いていた街中で見かけたのは
さんと見知らぬ男。
また、新しい男か。
いつも通りのことだったはずなのに
気づいてしまった自分の思いが引っかかった。
さんにとって、
俺はどう言う存在なんだろう。
何故、さんは俺を選ばないんだろう。
グルグルと渦巻いた黒い感情を
抑えることができないまま、さんにメールした。
家、来てもらえますか?
---
悪い夢を見ているんだと思った。
珍しく千夜から呼び出されて訪れた彼の家。
「千夜?どうしたの?」
いつもと違う彼の雰囲気に違和感を感じたのに
声をかけたのは
そんな彼を信じたくなかったのかもしれない。
「ぁっ?!」
手首を掴まれ、反転した景色。
気づけば私の上にいる千夜。
「っ!?」
頭の上でまとめられた手首を動かそうとしても
ビクともしなかった。
「さん。」
千夜の細い指がツーッと私の首筋をなぞる。
「イヤ!ヤダヤダ・・やめて!」
体をよじってみても、彼はビクともしなくて
ジワジワと涙が滲み、彼の姿がよく見えない。
「千夜・・お願い。」
一度、流れ出した涙は止められなくて
ボロボロと泣きながら、千夜を見つめる。
「イヤです。」
非情にも、拒絶の言葉が返ってきた。
彼がいつもつけているマスクを
どこかに投げ捨てる。
こんな状況なのに
マスクを外した彼の姿を美しいと思った。