• テキストサイズ

短編集●色んなキャラと365のお題

第35章 泣いているのを押さえつけて 東リベ 三途春千夜 シリアスめ





傷つける方法しか知らなくて


35.泣いているのを押さえつけて


「千夜・・お願い。」


ポロポロと涙を流しながら、
俺に懇願するさん。


あぁ、いい眺め。


ソファにおさえつけた彼女の体。

頭の上にまとめておさえている手首は
簡単にポキッと折れそうなほどに細い。


「イヤです。」

開いている手でマスクを外して、
その辺に投げ捨てた。


彼女の甘い香水の香りが濃くなり
酔いそうになる。


この甘い香りが俺に絡まってさんが
俺から離れられないようになればいいのに。

なんて、バカげた事を思った。



「さん、俺を選べよ。」

貴女を泣かせないと、約束するから。


すでに泣いている彼女に言うのも
ズレているだろうか。


返事を聞く前に
吸い寄せられるように彼女の首筋に顔をうずめる。

ピクリと震えた小さな体を
やっぱり愛しいと思った。



---



さんは
恋愛してないと死ぬんじゃないか?と思うくらい、
常に誰かのものだった。


はじめて出会ったのは学校の屋上。

うずくまって泣いていたのがさんで
正直、めんどくせぇと思ったから
教室に戻ろうとしたのに
彼女は、ちょっと聞いて。と話し始める。


テキトーに合槌をうっていたら、
「どう思う?」

なんて、上目遣いで聞かれて
めんどくせぇ女だと思ったのが第一印象。



それが何回か続いて、
そのうち放課後を一緒に過ごしたり
お互いの家を行き来するようになった。


『千夜ー!聞いてよ!』

電話がかかってきたり、
家を突撃されたりもしょっちゅうで
めんどうだと思いつつも、
彼女を待っていた自分もいる。


ソファの隅でうずくまり
泣き疲れて眠ってしまったさんを見て
この人は俺がいなくなったら、どうするんだろう
と思った時、彼女の魅力がわかった気がした。


「さん、俺にしろよ。」

呟いた言葉は、
返事がくることもなく、静かに消えた。




/ 85ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp