第34章 ご、……ご主人様 ヒプマイ 波羅夷空却 ほのぼの
郷に入っては郷に従え、って言うだろ?
34.ご、……ご主人様
まさかこんなところに
アイツがいるなんて思わなかった。
「よかったら遊びにいらしてくださーい。」
ようやく学校に慣れてきて最近始めたアルバイト。
時給もいいし、制服も可愛いし、気に入ってる。
片手にたんまり持ったチラシを
通行人に配るのも、仕事の一つで
これはこれで気に入っていた。
「どうぞー。」
パッとチラシを掴んだ手に見覚えがある
と思ったのも束の間、
「おもしれぇ、カッコしてんなぁ。
?」
懐かしい声が聞こえてくる。
ピシッと音が鳴りそうなくらいに体が固まった。
「・・っな、なんで・・・」
顔を上げて、なんとか絞り出した声は
あまりにも間抜けだ。
「コッチに用があってな。
たまたま、ぐーせん、通りかかったんだよ。」
久しぶりに会った幼馴染は、
ニカっと笑って言った。
こんなにタイミングよく?
空却なら、私のシフトまで
調べあげていそうな気がした。
「で?」
空却の言葉に首を傾げる。
「拙僧が遊びにいってやるから、連れてけよ。」
私が力無く頷くと、
空却は不服そうに私を見下ろした。
「、こういう時は、ご主人様、なんだろ?」
その知識は絶対に十四が教えたんだ。
その場にいない十四を恨んだ。
「ご案内します・・ご、……ご主人様」
空却は満足そうに笑って
私の手を取り
店の方に向かって歩き始めた。
ほら、やっぱり、店の場所までわかってるじゃん。
少しだけでも抵抗したくて、
素直じゃない幼馴染の手をギュッと握り返すと
空却は少し驚いた顔をして
のクセに生意気だ、なんて言いながら
楽しそうに笑っていた。
たどり着いた店で
空却があまりにも馴染めていなかったのは
また、別のお話。
fin
あとがき。
安定のエセ空却です。
空却、好きなのに難しい。。。
空却は、案外優しいけど
ちゃんと調べて根回ししてそうな気がします。
でも詰めが甘いみたいなイメージです。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
2022.07.03 朱華