第29章 あの人からのメール 東リベ 三途春千夜 ほのぼの
甘くみないでくださいよ
29.あの人からのメール
『海、いこ!』
あの人からのメールは
いつも突然、送られてくる。
絵文字のひとつもついていない
シンプルなメール。
俺はこのシンプルで短いメールが
彼女らしくて気に入っていた。
学校に向かうはずだった電車を降りて
学校とは反対に向かう電車に乗って
彼女の家まで向かった。
「春千夜、もうきたの?はやいね。」
チャイムを鳴らすとさんは、
まだ部屋着のまま、俺を出迎える。
呼び出すくせに
自分の用意はいつも出来ていない。
これもいつものこと。
電車を乗り継いで
近くの海岸に向かう。
「ひゃー!さむっ!!」
まだ寒さが残る3月に海辺に来るヤツは
俺たち以外にいるわけもなく、
2人で砂浜を歩く。
シャツに薄手のパーカー、
折り畳んで規定よりも短くなったスカート、
スカートから伸びる素足にはルーズソックス。
寒くて当たり前だろ。
「そんな格好してるからでしょう。」
手に持っていたカーディガンを
さんに手渡す。
「もう、あったかいと思ったんだよー。
優しいね、ありがと。」
彼女は
モゴモゴと俺が渡したカーディガンを羽織って
ニッコリ笑った。