第19章 肩に積もる淡雪 弱ペダ 福富寿一 ほのぼの
会いたい時に会いにいくものでしょ?
19.肩に積もる淡雪
灰色のどんよりした空から
チラチラと雪が舞い始めた。
「雪だ。」
ポツリと呟いた声は静かに消える。
珍しく休みになった部活。
特にすることもないので
たまには驚かせようと箱根まで
彼に会いにきたのだ。
それにしても寒い。
「部活かなー。」
ハァと息を自分の指先に吹きかけた。
あまり意味がないかも知れないけれど
気休めだ。
しかし、他校生と言うのが珍しいのか
先ほどから多くの生徒にチラチラ見られている。
多くの生徒の中から
「。」
私を見つける人がいた。
「よかった!会えて。」
たまには驚く姿を見てみたいと思うほど
表情は1ミリも変わらない。
「ちゃん!?どうしてここに?」
隣にいた新開くんの方が
驚いているんじゃないだろうか。
「部活休みになったから、
寿一に会いに来たの。」
うんと、頷いた新開くんは
用事思い出したから先帰ってて、と
寿一を見て言った。
相変わらず優しい人だ。
「すまん、新開。」
「ありがとう、新開くん。」
2人同時に新開くんに声をかけ
学校に戻っていく彼に手を振った。
「随分、待ったんじゃないか?」
私を見つめた寿一は
私の頭や肩に積もっていた雪を
ポンポンと優しく払った。
いつの間にそんなに積もっていたんだろうか。
「そんなにかな。」
大きく息を吐いた寿一が私の手を握り
ジッと私を見つめる。
「手も冷たいようだが。」
確実に私を疑っている目だ。
「まあ、、冷え性だからね?」
少し苦しい言い訳をしてみると
まったく。と呟いた彼は
私の手を自分のコートに突っ込んで歩きだした。
fin
あとがき。
ご無沙汰してしまいました。
優しい福ちゃんを突撃したかっただけのお話でした。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
2020.07.07 朱華