第5章 波乱の揺れ
「……コラさん、俺どうしたらいいかな。に嫌われたくない」
真剣に相談しているのに露骨に目をそらされた。ひどい。
(まあ恋愛相談にバリバリ答えてくれるコラさんも想像つかねぇけど……)
コラソンの恋愛遍歴はローも全部は知らないが、あまりいい女と付き合っている印象がない。割と女のワガママを聞くのに抵抗がないタイプなので、メンヘラちっくなのに振り回されて、さんざん試し行動をされたあげくに浮気されるらしい。マンションを買った直後に破局したのはさすがに彼も堪えたようで、一度深酒をしながら珍しく愚痴っていた。
「お前がちゃん好きで仕方ないのは見てればわかるよ。でも泣かしちゃダメだろ」
(は泣き顔も可愛いから……)
頭ではダメだとわかっているのに、つい泣かせたくなるのだ。
ラミが泣けばたとえ彼女が悪くても譲歩を求められたし、セフレのつもりで連絡先を交換したのに泣いて恋人関係を強要されたり、初対面なのに突然泣きながら告白されて付きまとわれたり、女に泣かれるとげんなりするのにだけは可愛い。
いま泣き顔を思い出してもぞくぞくするのだ。泣いてるを見るとドロドロに甘やかして可愛がって、何で泣いていたか忘れるくらいぐちゃぐちゃにしたくなる。
「あーあ、悪い顔して……反省してないな、お前」
呆れるコラソンに、ローは口端で笑った。自分でもさっきまで失敗したかもと思っていたが、泣いてるも可愛くて、可愛いが見られたのなら結果はプラスのはずだ。
「嫌いって言われたの、どうやって撤回してもらおうかな」
「撤回させるんだろ……」
に同情してコラソンはうめく。可愛いクソガキがいつの間にか極悪の女たらしになっていて、正直手に負えない。