第5章 波乱の揺れ
「……」
なんとかなだめようと声をかけるが、
「嫌い! あっち行って!」
泣きながら拒否され、取り付く島がない。
余震があるかもしれないしから離れたくないのだが、テントの中で泣かれて、さすがにローも退場するしかなかった。
「お前なぁ……」
リビングに戻ったらコラソンが呆れ顔をしていた。説教されるかと思ったが、代わりにため息をついて、
「どうしちゃったの? お前普段はあんなアホじゃねぇだろ」
しみじみと言われると説教より堪えた。
が可愛いからつい――アホ丸出しのセリフを言う気にもなれずに、「地震でどっか壊れたっぽい」とローも疲れた気分でソファに座った。
に言われた「嫌い」の単語が脳内をずっとリフレインしている。しんどい。
(本気で言ってるんじゃないよな……?)
本気で嫌われていたら「キスしてもいい」なんて許可は出ないはずだ。
(がっつき過ぎたか。シャチにも釘差したのにな……)
シャチと同類になってしまったのはけっこうショックだった。シャチは完全に振られて合コンに走ったが、自分にはまだリカバリーの目はあるだろうかとローは真剣に考えた。
これでとダメになりたくない。なんとか挽回したい。
しかしさっきも謝りに行ったのに悪化させたことを考えると、今はそっとしておいたほうがいいのかとも思う。
「ローお前、もうちゃんのところに行くなよ」
なんとか口実を作ってのところに行きたいと、そわそわしているローを見かねてコラソンが釘を差す。ローは「わかった」と言うしかなかった。