第5章 波乱の揺れ
「仲直りしたい。キスさせてくれたら、しばらく意地悪しない。意地悪されて泣きそうなより、キスしたあとののほうが可愛いから」
返事もできずにうろたえているに体を近づけ、指先を握る。親指で小さな爪をなぞると、は消え入りそうな悲鳴を上げた。
「キスしたら、こういうのもしない?」
押し倒したくなるからそんなこと泣きそうな顔で聞かないでほしい。何を聞かれたんだっけ?
「しない」
何を聞かれたのか忘れていたが、ローは条件反射で約束して耳元でささやいた。
「じゃあ、いいよ……」
緊張した様子では目をつぶった。ローもまさか許可が出るとは思っていなくて、一瞬唖然としたものの、ぎゅっと目をつぶって待っているを前に我慢とか無理で、膝に乗せて抱きしめながら何度もキスした。
「ふぁ……っ」
何か予想と違ったようでは逃げ出そうとしたが、ぎゅっと抱きしめ、さらに頭の後ろを押さえて離さない。
むさぼるようにキスして、口の奥まで深く、酸欠になりそうなぐらい何度も何度も。拒まれないように細い両手は背中の後ろで押さえて、夢中になってローはキスした。
(クソ可愛いな。気持ちいい。したい……)
キスでスイッチが入るなんて今までなかったのに、人生で一番したくてたまらなかった。押し倒して泣かせてぐちゃぐちゃになるまで朝までを可愛がりたい。
も気持ちいいのがわかる。拒まれる要素なんてないだろうと思ったが、コラソンにも釘を差されたし、一応確認を取ろうとを離すと、その瞬間、彼女は脱兎のごとくテントに逃げ込んだ。
ローを拒絶するように急いでジッパーを閉めて、
「女たらしの船長さん嫌い! あっち行って!」
半泣きで完全拒絶される。
(……なんで?)
許可取ったし、がいいって言ったし、気持ちよさそうだったのでこんな反応になる?
「さすがにあれはねぇだろ」と理性が今更何か言ってるが、肝心な時に役に立たない無能に後出しで何か言われたくない。