第5章 波乱の揺れ
膝に乗せてがっちりホールドするとは逃げられず、居心地悪そうにしているが、構わずローは彼女と指を絡めて一方的にいちゃつく。
「寒いのに足出してちゃダメだろ。風邪引くぞ」
「??? なんでそんな常識的なこと言うの?」
常識をどこかにやってキスしまくったローに常識的に注意され、は混乱していた。
「さっきまでは宇宙人だったの?」
同じ人格だと言われるより、そのほうが納得できるとばかりには問い詰めてくる。
可愛いのでキスしたら、彼女はがっくりうなだれてしまった。可愛い。
「船長さんの女たらし。私で遊んでるでしょ。わかってるもん……」
日頃の行いが悪すぎてもてあそばれているとは感じているようだった。ローとしては心外だった。
「と遊ぶのは楽しいが、別にで遊んじゃいない」
好きだ、と真剣に伝えたが、は口をへの字に曲げる。
「し、信じないもん」
困ってローはコラソンを見た。
「お前こんな時だけ俺を頼るなよ」
「コラさんの育て方が悪かったせいだし」
多少は後ろめたくて誤魔化したら、クソガキめ、と頭をぐりぐり撫でられた。
「ちゃん、ローのこと嫌いか?」
頼りのコラソンまでローの味方になってしまい、は不安そうにひざ掛け代わりの毛布を握りしめた。
拒絶されそうな気配に、ローは両手での目を隠すと「聞きたくない」と先に拒否した。
「ロー」
咎めるようにコラソンに名前を呼ばれるが、どうしても嫌だった。
初めてこんなに女の子を好きになったのに、拒絶されるなんて耐えられない。が自分をどう思ってるかなんて、大好き以外聞きたくない。
「お前ジゴロのくせにヘタレだな。……ちゃんとちゃんと付き合うまで、キスも触るのも禁止だ」
まさかの指示に、なんで、とローは顔を上げた。
「嫌だよ」
「中途半端な状態でキスされるの、ちゃんも嫌だろ?」
こくこくとは熱心に頷く。ショックだった。