第5章 波乱の揺れ
「どうして?」
自分の底意地の悪さを自覚しながら、わからない振りでローがとぼけるとはうろたえた。
「そ、そういうのは好きな相手とするものでしょ?」
間違ってないか不安そうにしながらは訴える。横でコラソンがを応援して、無言で頑張れとエールを送っていた。
「じゃあ問題ないだろ。ちゃんとのこと好きだからしてる」
証明するように唇にキスすると、は真っ赤になった。ひどく動揺して混乱しながら、「で、でも」と言い募る。
「二股は良くないよ」
「してない」
「……十股くらい?」
「だけ」
さらにキスするとの混乱度はさらに上がった。
「誰にでもそういうこと言うのも良くないと思う」
「言ってない。だけ」
答えるたびにキスする。うろたえながら、は必死でこのサイクルを終わらせようと頑張っていた。
「う、ウソついちゃダメ」
「ついてない」
キス。
「からかうのもダメ」
「だめか。でもじゃあ、真剣ならいいんだな」
墓穴掘ったにまたキス。
「好きだ」
キス。
「二股じゃなければいいんだろ?」
キス。
「にしか言ってないし、してない」
キス。
「ウソじゃない」
キス。
「からかってるわけでもない」
キス。
「……ローお前、その辺にしときなさいよ。ちゃん沸騰しそうだから」
キスするたびに真っ赤になっていたは、完全にのぼせたみたいになっていて、助け舟を出したコラソンに泣きついた。
「コラさん、船長さん止める方法知らない?」
「うううーん。正直、こんなローを俺も初めて見たから、戸惑ってると言いますか」
ミノムシが脱皮して細い素足があらわになってしまったので、ローはコラソンからを取り返して膝に乗せると、彼女の足に毛布を掛け直した。